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ロミオはご機嫌斜め(Opehlia Complex 蜜葉様に捧ぐ)

2011–04–16 (Sat) 07:09
このお話は、相互リンクさせて頂いております、
『Ophelia Complex』の管理人の紗雪蜜葉様に頂いたリクエスト作品です。
お題は
“使用人達の邪魔を潜り抜け坊ちゃんとイチャイチャしようとするセバスチャン”
拙宅では珍しいお題で、楽しく書かせて頂きました^^

“使用人達”の中に、タナカさんを入れるかどうか迷いましたが、
この方が入る事で、使用人ズだけの時とは雰囲気が変わりますので、
やはり、出演して頂く事に致しました。

それでは、いってらっしゃいませ。



ロミオはご機嫌斜め(Ophelia Complex 蜜葉様に捧ぐ)

その日のセバスチャンは、いつも以上に、とても忙しそうだった。

ここのところ、玩具、製菓、レストランの季節限定商品の新規開発の為、
各部門の担当者が入れ代わり立ち代わり屋敷を訪れて忙しく、
特に、ここ4日間は、裏の仕事と、断れない夜会が相次いでいて、
主は、睡眠時間も充分に取れないような有様だった。
それと、この日の彼との関連は何かと問えば、
要するに、彼には、主が不足していた。
主の柔らかさ、主の温かさ、主の感触を、少しだけでもいいから味わいたくて、
僅かな時間でも作れないものかと、次々と畳み掛かってくる仕事を、
恐ろしい速さと的確さでもって、何とか片付けようとしたのである。
より迅速に、より確実に用事を済ませ、主の元へ向かいたいのだったが、
そういう時こそ、不測の事態は起こり易いのだ。

お目覚めの時間。
彼は、カーテンを開け、キラキラとした朝日を部屋に呼び込む。
「坊ちゃん、お目覚めの時間ですよ。」
とっておきの飛び切り甘い声で呼び掛け、シーツの中で伸びをする主の傍らで膝を折る。
こちらに顔を向け、ゆっくり瞬きをする主の唇に近付こうとしたまさにその時、
階下から地響きと共に爆発音が聞こえてきた。
遠くから家女中の悲鳴。
あと数センチの所に、薔薇の花弁のような主の唇があるのに・・・。
ここで中断して今すぐに行くべきか、キスをしてから行くべきか逡巡していると、
主が、行かないのかと眼差しで問うている。
「早く行ってやれ。」
主に急かされ、朝の挨拶のキスは見送りとなった。

「まったく、バルドには困ったものです。
あれほど構うなと言っているのに、目を離せばすぐにあれです。」
眉根を寄せて、うんざりとした表情をする。
彼は、料理長の料理の腕を、完璧なまでに信じていないので、
自分が指示したこと以外はしないようにと、常日頃から言い聞かせ続けているのだが、
どうしても、何かしたくなる性分らしく、
仕上げと称して重火器を持ち出しては、厨房を破壊するのだ。
今日は来客の予定は無いが、昼食の準備の為には厨房の修理は後回しには出来ず、
主の身支度と朝食を済ませて、すぐに修理に取り掛かった。

11時のお茶の時間。
昼食の準備が出来るくらいには厨房を修理し、
下拵えを料理長に頼み、くれぐれも、く・れ・ぐ・れ・も、
指示されている事以外には、絶対に、やってはいけないと念を押して、
主にお茶を供しに来た。
手の込んだものを作るには時間が無くて、シンプルなスイーツだったが、
主の口に合うものを用意出来たようだった。
「悪くないな。」
そう言って、オレンジピールを入れて焼いたパウンドケーキを頬張る主。
脇に控える彼は、柔らかく微笑んでいる。
瑞々しい唇は薄紅色に艶めいて、甘い果実の味がしそうだ。
主が紅茶のカップを置いたところを見計らって、
ついと顎に指を掛けて上向かせた。
「味見をさせて頂いてもよろしいでしょうか、坊ちゃん。」
キラキラ光りそうな笑顔を見せる。
主は、フンと鼻をならした。
「仕事が山積みなんだ、味見だけにしろ。」
「心得ております。」
三日月の角度に上げた唇を寄せていく。
マシュマロよりも柔らかで甘い主の唇が嬉しい。
もう少し味わおうと、深めに食もうとしたその時!
「セバスチャンさぁーん!!」
廊下を物凄い勢いで走り抜け、ドアを開け放ったのは、家女中だ。
「あ?!」家女中の間の抜けた声。
「お熱はないようですよ、坊ちゃん。」
顔がこれだけ至近距離なのを誤魔化すには、こんな理由が適当かと考えた。
そして、こめかみの辺りがひくっとするのを抑えて、家女中に向き直る。
「メイリン、主の部屋のドアをノックも無く開けるとは何事です?!」
坊ちゃんの肩が小さく上下し、伏せた顔が笑いを噛み殺しているのが分かる。
机の上で握った拳が白くなるほど力を込めている。
まったく、執事が困っているのを面白がるとは、酷い主だ。
「えっとぉ、あの・・。」
メイリンは、坊ちゃんの様子が微妙に気になるらしい。
詮索されては、あとあとが面倒な事になるかも知れない。
「メイリン、何か言いにきたのでしょう?」
視線を尖らせて、先を促す。
「すみませんですだ!広間の床を磨こうとして、
ワックスと間違えて、料理用の油を撒いてしまったですだよ!!」
この家女中ときたら、片付けるより荒らす事の方がはるかに得意と来ている。
酸素をすべて吐き出すくらいの溜息が出た。
「分かりました。坊ちゃん、申し訳ございませんが、
また後程、ご様子を窺いに参りますので、ご無理をなさいませんように。」
主は、こくりと頷き、手で虫でも払うような仕草をする。
声を出せば、笑っているのが分かってしまうからだろう。
もう一度、今度は小さく息を吐き出して、家女中と共に広間へ向かった。

広間の床は、哀れな有様だった。
とにかく、まずは油を拭き取らなければ話にならない。
主の昼食の準備も始めなければならず、そこは一旦、家女中に任せ、
厨房で、料理人としては使えない料理長に下拵えの指示を出した後、
再び広間で油の除去と、ワックス塗りをし、また厨房へ取って返した。
昼食を主に供した後は、配達された郵便物の確認と仕分けをし、
急ぎで坊ちゃんに目を通して頂きたいものを、執務室へと持って行く。

この時間、料理長は主の昼食と使用人の賄いの片付けで火を使わないので、
厨房が破壊される心配は無い。
家女中には、銀器磨きを言いつけてある。
問題は無いものと思われる。
銀のトレーに綺麗な扇方に並べた郵便物を乗せ、坊ちゃんの部屋のドアを叩く。
「入れ。」
短い返事だけれど、誰がノックをしたのかを心得ている声が、私を喜ばせる。
書類に目を落とし、サインをしているところだった主が、ついと目を上げ、口元を上げた。
この主は、こうしてふいに、私を絡め取ってしまう。
主の右横に立ち、目の前にトレーを差し出す。
「急ぎで目を通して頂きたい書簡がございましたので、お持ち致しました。」
必要以上に耳に近い所で低めに声を出す。
そのまま、肌理が細かくふんわりと柔らかな頬に唇を押し付ける。
「どうした?今日は、やけに甘えて来るな。」
大人びた口調で主が問う。
「構って頂こうかと思いまして。」
どうしてなのか、自分でもよく分からないのだが、そんな言葉がすらすらと出てしまった。
坊ちゃんも、不思議そうに私の顔を見上げている。
微かに開いた唇に誘われ、さらに顔が近づいて・・・。
メリメリッと、不吉な音が聞こえてきたのは気のせいか?
主の唇まで,あと1センチと5ミリ。
バキバキバキバキッ!!!
「うわぁ~ん!セバスチャンさぁん!!」
庭師が叫んでいる・・・・・。
眉と眉との間隔が狭くなっていくのを感じる。
もう、溜息も出ない。
「おい、呼んでるぞ。」
主の息が顔に掛かっているというのに、少しも色っぽくない。
家女中と料理長が、玄関のドアから飛び出していったらしい声が聞こえてきた。
どうやら庭師を宥めてやっているようだ。
「泣き声が煩い。さっさと行ってやれ。」
笑いを含んだ声で主は言うと、私の髪を掻き揚げた。
表情を無くした顔で一礼し、静かに執務室を後にした。

午後のお茶の時間。
玄関脇の大きなゴールドクレストの木を、文字通り、押し倒してしまった庭師。
彼には、トリプルアイスクームにおまけも付けて、よく言い聞かせておいた。
今は、玄関に続く道の雑草を抜いている。
料理長には、晩餐の下拵えを指示し、余計な事には一切構うなと言いつけてある。
もしも、指定外の行動を取ればどうなるかと、釘を刺してある。
家女中には、取り込んだリネンにアイロンを掛け、
1ミリのズレも無く綺麗にたたんでおくように指示を出した。
今日は天気が良いので、テーブルをサンルームに用意する。
フルーツを盛った小振りなタルトレットを数種類ケーキスタンドに載せてある。
カスタードクリームの上にホイップクリームを飾り、
半分をチョコレート掛けにしたイチゴを載せたもの。
ラズベリーとブルーベリーを載せてゼリーでコーティングしたもの。
リンゴのワイン煮を花びら状に飾り、緑の葉を載せたもの。
オレンジを使ったもの、南国から取り寄せたフルーツを使ったものなどだ。
食の細い主に、何とか栄養を付けさせるのも執事の仕事。
艶やかな髪、すべすべとした肌、桜色の爪。
坊ちゃんが健康でなければ、それらは保てないのだから。
主は、機嫌良さそうにタルトレットを口に運んでいく。
そんなときの主は、年齢相応の表情に見え、辛辣な言葉も吐かないので、
それはそれで、見ていて飽きない。
自分の払った労力に、主が満足しているのを確信するのも楽しいものだと思う。
主の頬に、クリームが付いているのを見つけたので、一歩近づいて腰を屈め、
頬に舌を這わそうとしたのだが、目の端に何かを捉えてしまった。
サンルームの大きく透明なガラス越し、
薔薇園を望むベンチに、ちんまりと座り、お茶を啜っている人影。
丁度、こちらを振り返り、ニッコリと笑った顔と目があった。
・・・唇の間からのぞかせた、この舌の言い訳はどうすればいいのだろう・・・・・。
悪魔も、冷や汗を掻けるようだ。
家令の姿は、坊ちゃんの視界にすれすれで入っていないのが救い。
解っておりますとでも言う様な会釈をして向こうを向いたけれど、
この場合の正解は、どこにあるのだろうか。
「どうした?セバスチャン。」
聞かないで貰いたかった。
「いえ、味見の時に舌を火傷したようでしたので、
どうなっているか、坊ちゃんに見て頂こうかと思いまして。」
表情筋が覚えた、絵に描いたような笑顔で言ってみる。
首筋には、ひんやりと厭な汗を感じるが、これが今できるベストなのだから仕方がない。
「はぁっ?」
片眉は吊り上げ、片眉は引き下げて、怪し過ぎるといわんばかり。
これが怪しくなければ、何が怪しいのだ。
「いえ、もう治ったようですので、結構です。」
執事然とした直立の姿勢へと体勢を直す、筈だった。
主の小さな手が、私の頤を掴んで引き止めた。
「ふ~ん。」
仔猫が遊び相手を見つけた時の、興味津々の眼差しを向けてくる。
自分から行動を起こそうとしてくれる事の少ない主だ。
今でなければ、どんなにか嬉しいのだが、
角度からいって、ここで何かあれば家令の視界に確かに入るものと思われる。
その危険を主に伝えるのも、どうも正解とは言い難い。
ゆっくり考えを巡らせる時間の無い時にこそ、
突き付けられる選択肢は究極に選び難いものであるのだ。
しかも、時の流れは、早い。
「分かった、火傷した舌を見てやるから出してみろ。」
主の企みは、残念ながら、今回は回避しなければならない。
「ファントムハイブ家執事たるもの、主人にそのような事をさせては・・。」
「させようとしたのはお前だろう?」
獲物を定め、体を低くし、背中を揺すってリズムを取る子猫。
「どうした、出せないのか?」
今日の主は、矢鱈と挑発的だった。
「・・後悔、なさるかも知れませんよ?」
私の目の端には、薔薇園を眺めているように見える家令の姿がある。
執事としての笑顔も、さすがに引きつっていた。
どうして、今日で今なのだろう。
勿体ない事極まりなく、逃す獲物の大きさは計り知れないのだったが、
“知られているのかもしれない“のと、“確実に知られている”のでは、
やはり、事情が違ってくるのだ。
この手を使えば、主は確実に機嫌を損ねる。
早朝から邪魔され続ける主との時間を合わせたより、
今この時の時間をふいにさせられる事の方が、気が重い。
家令の背中に、鋭い一瞥を送った。
「おや、あんなところに猫が。」
忽ち不機嫌になる小さな主。
これで、今日はもう、主との時間は糖度の無いものになってしまうのだ。
猫アレルギーの主は、私が猫に構うのをとても嫌がる。
話題に出すだけでも、ムッとした顔をして、口調が辛辣なものになり、
暫くは機嫌を直してくれなくなってしまう。
「どうせ、いつもの黒い猫だろう?」
私の視線の反対側にいるのは、知らない顔を決め込みながら、
耳を澄ませてこちらを窺うという意味で、さながら黒い猫と言える。
執事の見本のように、白髪をオールバックに整えた黒い猫。
「そう、ですね。」
曖昧な笑みで答えた。
「なら、好都合だ。お前が誰のものか、見せつけてやる。」
主が決然と言い放った言葉に耳を、疑った。
少々、魔の、いや間の抜けた表情をしていたろうと思われる。
あの相手に見せつけるのは、如何なものか。
などと考えている間に、主は伸び上がるようにして私の唇に辿り着いてしまった。
瑞々しく温かい感触。
一度触れてしまえば、もう、歯止めが効くわけがなかった。
主が私の後頭部に小さな手を回して引き寄せようとするのが、堪らない。
不足していた主を、一気に摂取していく。
滑らかで薄い唇の皮膚を、自分の唇で撫でて確かめる。
主の手に力が籠ってきて、ちろりと私の唇を舐めた。
薄く唇を開いてやれば、主の舌が、私の舌を求めて侵入してきた。
幼い動きのもどかしさに、返って胸が熱くなる。
時折、気紛れに主が所有権を主張してくるから、もっと所有されたくなってしまうのだ。
キスを、唇から喉へと、じわりじわりと移動させていけば、
淡く、薔薇が香る。
いつからか、白髪の黒猫の気配が無くなっていた。
私を求める主、主を求める私、複雑な柄を織り上げていく想いが、
サンルームの眩しさを軽減していくようだ。
その静けさを破るもの・・。
「セバスチャンさぁん!!」という叫び声は、家女中。
「うわぁ~ん、セバスチャンさ~ん!」と泣きわめくのは、庭師。
ドォーン!という爆発音と屋敷の揺れは、料理長。
どうやら、3人とも命が惜しくないようである。

瞳は、赤くギラギラと光っていることだろう。
口元が、二日目の月のような急な角度に上がっていくのが分かる。
黒い羽根は音も無く降り注ぎ、部屋の色を真っ黒に塗り替える。
全くの、正しい闇。
声だけが、薄明るく甘い。
「坊ちゃん、少々お待ち下さいますか?
どうやら、躾の足りない者達がいるようでございますので。」
主は、私を幾らか宥めようと、私の頬を撫でて優しげな声で言った。
「死なない程度にしておいてやれ。」
「イエス、マイ・ロード。」

その後、屋敷からは、恐ろしい悲鳴の合唱が聞こえたとか、聞こえなかったとか。

「ほっほっほっ。あの3人には、
引き際の美学を心得ておくように教えておくと致しましょう。」



End



※※※  ※※※  ※※※

あとがき

今回も、タナカさんは、美味しい所を持って行った感じです^^
老練な家令を書くのが楽しい私。
このお話では、セバスがバタバタする分、
坊ちゃんを大人な感じにしてみました。

自信たっぷりに見えても、上手くお題に添えているのか、
実はビクビクしております^^;
こんな感じでも良しとして下さる方、挙手をお願い致します<(_ _)>

次回作、ただいま鋭意執筆中!
し、仕事もやってます、と思います・・。
              たままはなま
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たままはなま

Author:たままはなま
生息地域 日本で唯一、神無月の無い県
誕生日  5月24日(双子座)
血液型  AB型
行動の指針 後悔は少ない方がいい。やらずに後悔する位なら、今やって失敗した方がいい。「このままで、明日、命を落としても後悔しないか?」これが、最終判断の基準です。
黒執事キャラ占いで、47%がセバスチャン、タナカが33%、劉が10数%、葬儀屋が8%、アバーラインが数%、坊ちゃんが1%で出来ていると出た人。
歯医者の待ち時間や、通勤の運転中にも、次回の執筆のネタを考えている創作好き。
こんな管理人でございますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます<(_)>

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