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病 や・ま・い(Glamorous Black 一條様に捧ぐ)

2011–04–05 (Tue) 01:05
このお話は、相互リンクをさせて頂いております
”Glamorous Black"の一條様よりのリクエスト
『ちょっと弱ったいつもと違うセバスチャンと慌てる坊ちゃん』
となっていると思います^^;

セバスチャンは、なかなか弱ってくれませんでしたねぇ。
あくまで悪魔、生態がよくわからないもので。
無い知恵を絞って書いてみました。

それでは、いってらっしゃいませ。



病 や・ま・い (Glamorous Black 一條麻貴 様に捧ぐ)

遅効性の毒のようだ。
効かないと高を括っていると、じわりじわりと体中に回り、
不調の気配に気づいた時には、もうかなり効き始めてしまっていて、
慌てたところでどうにも出来なくなっているのだから、始末が悪い。
口に甘く蕩ける毒は、私の内側から、焼けつく苦しさをもたらす。
私に、どうしろと・・・?

類稀な有能さと完璧な優雅さ、秀麗な容姿で英国中に名を馳せる彼、
ファントムハイブ家執事、セバスチャン・ミカエリス。
彼は、広大な敷地に建つ豪壮な屋敷の一切を、ほぼ一人でこなしている。
この屋敷にも、沢山の使用人がいた頃があったが、
皆が口を閉ざす惨劇の後、一人息子である幼さの残る現当主が戻ってからは、
先代の執事にして現在の家令、当主の執事たる彼、家女中が一人、料理長が一人、
この屋敷に雇われてまだ日の浅い庭師が一人しかいない。
仕事に不慣れな使用人達が来てから、かえって仕事が増えているくらいだが、
相変わらず、悪魔的とも云えるほど完璧な仕事をしていた。
(悪魔的、というより、悪魔そのものが仕事をしているのであるが。)
仕事は問題無くこなされているのだが、このところ、様子がおかしかった。

「坊ちゃん、セバスチャンの様子がちっとばかし気になるんだがよ。
風邪でも引いてるのかねぇ。」
食材を炭にする事にかけては右に出る者のいない料理長が当主に話したところによると、
厨房で調理をしている途中に、調理台に手をついて、
浮かない顔で、何度も長い溜息を吐いていたという。
このところ、そんな様子をよく見掛けるので心配になったのだという。
常日頃、何でもテキパキ要領よく、軽々とこなしていく執事にしては、
どうも普通とは言い難いようではある。
「分かった。また、何かあったら知らせてくれ。」
「へい、坊ちゃん。」
料理長からの報告に、当主は考え込んでしまった。
実は、同様の報告が、家女中と庭師からも寄せられているのだ。
片付けるより、荒らす方が多い家女中曰く。
先日、料理長がまたも破壊した厨房の修理に当たっていた執事の様子。
「厨房の修理をしている時に、時々、額に手を当てて、苦しそうな顔されてましただ。
私、あんな様子のセバスチャンさん見たことが無くて、声を掛け難くて・・。
セバスチャンさん、どこか具合が悪いですだかねぇ。」
庭を更地に戻すのが得意な庭師曰く。
「薔薇園の手入れ中に、俯いて、手をグッと握ったり開いたりして見てたんです。
怒ってるっていうか、困ってるっていうか、上手く言えないんですけど、
なんか、いつものセバスチャンさんじゃないんですよ。
坊ちゃん、セバスチャンさん、病気なんじゃないんですか?心配なんです。」
当主は困惑する。悪魔で執事が病気?
悪魔の生態など知らないが、悪魔も病気になるのだろうか。
だが、当主の前では、まだそんな様子を見せた事は無かった。
いつも通りの完璧なサポートをする執事である。
「僕が、気が付いていないだけか?」
訝しみながら、暫く様子を窺ってみる事にしたのだった。



通りすがりに、何気なく、細く開いたドアの中を見た。
図書室で、当主が読み散らかした本を片付けているらしい執事がいた。
通り過ぎようとしたが、ふと、その表情が曇っているのに気が付く。
顎に手を当てるいつものポーズで、一冊の本に目を留めている。
すっと手を伸ばすものの、躊躇うように宙で止められた。
そして、ゆっくりと手を下ろし、何事も無かったかのように片付けに戻った。
何の本を取ろうとしていたのかが気に掛かる当主は、
後で、執事の見ていた辺りの本を調べに戻ることにし、その場を後にした。

ドアの隙間から当主の影が去ったのを充分に見計らって、
執事がくすりと笑った事は、誰も知らない。



暫く時間を置いて、当主は図書室に戻ってきた。
先ほど、執事が手を伸ばしていた辺りの棚には、医学関係の本が並ぶ事が分かった。
「医学関係?」
ただし当然、人間用しかないので、悪魔が参考にするにはどうかと思うのだが、
使用人達も、もちろん自分も、医学書の必要な状態のものはおらず、
当主は、益々困惑を深めるばかり。
「一体、どういう事だ?」
美しい整った眉を顰め、首を傾げる。
やはり、執事自身に何事か起きていると考えるべきなのか・・・。
情報のピースが少なすぎて、どうにも分からない。
今後は、執事をよくよく観察してみる以外にはないようだった。

執務室に戻ると、丁度、執事が午後のお茶をワゴンに乗せて持って来る所だった。
確かに、いつもに比べると足取りが重いかも知れないと思う。
が、当主を目に留めると、すぐにニッコリと普段通りの笑顔を見せた。
「おや、坊ちゃん。また仕事そっちのけでお散歩でしたか。」
このムッとする物言いは、まったく平素のとおりである。
「ふん、部屋の中ばかりにいると気が滅入るからな。気晴らしだ。」
そう返しながらも、執事の様子を見落とさないように神経を集中させる。
ドアを開けた執事の横を通る僅かな間に、チラリと目線をやって、
どこか変わったところはないか確認するのを忘れない。
執事は、いつも通りに、薄い笑みを浮かべて頭を垂れている。
いや、まったくいつも通りでもない。
今、微かに細い溜息を吐いた・・・。
キリリとした痛みが胸に奔る。
振り向きたがる体を捻じ伏せて、執務机に辿り着いた。
やはり、セバスチャンの体に何か起きているというのだろうか。
悪魔が空腹のまま、どの位の期間、その体を保てるのか知らないが、
もしかしたら、もう、限界が近いのかも知れない。
当主と契約をした悪魔で執事は、
それ以来、たっぷり3年近くは、唯一の食事である魂を食べていないのだった。
この執事がいなくなったら、どうなるのだろう。
「坊ちゃん、どうかなさいましたか?」
執事が顔を覗き込んでいるのに気が付いて、ハッと我に返る。
「いや、何でもない。」
何でもないどころか、当主は、内心愕然としたのだ。
復讐を果たすための「力」であり「駒」である彼は、最早それだけに留まらない存在。
脈が、速くなる。
平然とした顔で紅茶を飲んでも、味など分かっていなかった。



確かに、仕事に抜かりはない。
しかし、当主に気付かれまいとするかのような、細く小さな溜息を吐き、
当主に背を向けている時の肩に、どことなく力が感じられない。
いつもは、後姿まで自信に溢れていて癪に障るくらいなのにと思う。
そんな背中を見せるほどとなれば、やはり、病んでいるのかも知れない。
当主は、焦燥感を持て余す。

寝室で夜着に着かえさせられている当主は、入浴の時の執事の様子を思い出す。
心なしか、目を伏せ気味に俯いている事が多かったように感じた。
「坊ちゃん、ナイトティーをお持ち致しますので、少々お待ちください。」
いつもの笑顔で言ったが、ドアに向かう執事の燕尾の揺れ幅が小さい。
「ああ。」
こちらも、いつものそっけない返事を返す。
が、当主は、仮面の下でひっそりと眉根を寄せる。
悪魔の中でもかなりの上級位の者らしくて、実力に裏打ちされた自信に満ち、
時に主人をも見下す勢いの傲慢さを持つ執事が、何という姿だ。

この夜、当主は遂に寝付くことが出来なかった。
“もしも、執事を失うことがあったなら”という考えに囚われて。
そんな事は有り得ない筈だと思う。
相手は、齢も定かでない程に長く生きている悪魔なのだから、
今更、何が彼の命を奪っていくというのだろうか。
だが、確実に“無い”と言えるのかと言われると、それは分からないのだった。
では、万が一なくしたら、どうなるのか。どうするのか。
ファントムハイブ家当主を完璧に支える執事としての悪魔。
シエル・ファントムハイブの復讐を果たすための「駒」としての悪魔。
シエルの心を包み込む存在としての悪魔。
昼間、愕然としたのは、そのどのパターンに於いてもの、依存度の高さ。
これで、一人で立っていると言えるのかとの思いに、自嘲の苦笑が零れる。
「執事」であり「駒」である事は、契約だ。
相応の対価が用意されているのだから、彼以外でも代替えは不可能ではないのだろう。
問題は、残る一つ。
暴れ、のたうつ想いが、当主を眠りから引き剥がし、寝室を溜息で埋めた。



翌朝、定時に常の通り当主を起こしに来た執事だったが、
当主は、ベッドのヘッドボードに凭れ、疲れた顔を晒していた。
「おや、お早いお目覚めですね、坊ちゃん。」
そう言う執事の声に、当主は気怠く目をやる。
「ああ。」
眠れなかったとは言わない気の強い当主は、前髪を掻き揚げ、不機嫌な顔をする。
執事は、カーテンを開けに行くより、当主の様子を見る事を優先させた。
当主のベッドへ歩み寄る執事。
「坊ちゃん、お疲れのご様子ですね。」
お前はどうなんだと聞きたい当主。
執事は、当主の傍で跪き、そっとその柔らかな頬に手を伸ばす。
親指で、目の下をゆっくり撫でた。
「お休みにならなかったのですか?」
静かな低い声。
好き好んで眠らなかったのではないと、言おうか、言うまいか。
理由を聞かれるのは面倒だから、ここは無言で通そうと思う。
当主は、目を閉じて、天を仰ぐ。
頬を包む、執事のヒンヤリとした体温が心地良かった。
「坊ちゃん、今日の予定はキャンセル致しましょう。」
そう言って執事が立ち上がる気配がしたが、ドアには向かわず、
ボフッとベッドに腰を落とした感覚があった。
当主は、執事に何かあったのではと、慌てて目を開けた。
執事が、当主をじっと見つめる瞳と出会う。
“怒ったような、困ったような顔”と、フィニが言っていたのを思い出す。
「何か、言いたいことがあるのか?」
「坊ちゃんこそ、私に何かお話がおありなのでは?」
どう切り出すのが最善、最適だろう。
答えをあやふやに誤魔化されるのを、当主は好まなかった。
嘘を持って答えるのは契約違反だが、質問をはぐらかすのなら問題無い。
執事に逃げを打たせずに答えさせたい当主が考えを巡らす。
それぞれの瞳に、思惑が潜んでいる。

「バルド達が、お前の様子がいつもと違うとか言っていたぞ。」
当主は、自分が思っているのではないと主張しておく。
少し首を傾げて、執事が当主に問う。
「坊ちゃんは、どう思われます?」
「どう、とは?」
迂闊な言葉を選ばないように、細心の注意を払って聞き返す。
執事の瞳の奥に、本性の赤が明滅している。
「私の様子は、いつもと違いますか?」
厭な切り返し方をしてくると、執事を見据える。
「さあな、僕にはよく分からん。」
そう言いつつ、執事を観察していない訳がなかった。
少し眉を顰め、ゆっくりと瞬きをする執事が、細く息を吐く。
「坊ちゃん。私は、病を得てしまったようです。」
当主は、目を見開いた。
心臓が痛くて夜着の胸を強く掴んだのは、無意識。
口を開いてみても、言葉は出ない。
「それも、かなり重症のようで。」
昨夜の思考が、当主の脳裏に甦る。
この執事を、失うのかも知れない・・。
焦るほどに言葉は見つからず、執事の胸に手を置いた。
執事の手が、当主の手に重ねられ、絡め捕る。
切なそうだった執事の表情が一転、甘さを満たした笑顔になった。
「病の名は、“恋”です。」

いっきに緊張が緩んで前のめりに体を倒した当主は、
次の瞬間、ものすごい勢いで頭に血が上って行くのを感じた。
執事に取られているのと反対の手で枕を掴み、執事に渾身の一撃!
ボフッと音はしたが、執事が腕で防いだ為、ダメージを与えることは出来なかったらしい。
目を三角にし、息を荒げて怒っている。
「このバカッ!!何だそれは?!昨夜の僕の睡眠時間を返せ!
からかうのも大概にしろ!今日はもう仕事はしないからな!
何なんだお前は、何がしたいんだ、訳が分からん真似をするなというんだ!!
人の気も知らないで何をヘラヘラ笑っている?!
この、バカ執事!!」
一息に捲し立て、フーフーと肩で息をする当主は、顔を真っ赤にして怒っている。
「からかってなどいませんし、私は大真面目ですが。」
当主の眉間の皺は非常に深く刻まれ、今にも飛び掛からんばかりの気配。
対する執事は、あくまで穏やかに笑顔を湛えている。
「使用人が増える度、貴方がそちらに気を配るのがどうにも気になって、
何だかもやもやと気分が悪く、落ち着かなかったのですよ。
貴方が彼らを気に掛けるような事を仰る度に、無性にイライラしましたし。
貴方は、そんな私に気付いて下さらないようなので、ちょっとした意趣返し、ですね。」
執事の顔は、まさに爽快といった感じだ。
すっきりしないのは、当主。
「ああ、そうか、お前はすっきりしたようで結構な事だな。
で、僕のこの気分の悪さとイライラはどうしてくれるんだ?
第一、仮病は“嘘”なんだから契約違反だろう。」
地の底から聞こえてくるような声で当主が言った。
「いいえ、私は嘘は付いていませんよ。
貴方が“それらしく“と仰った通り、恋の病の典型的な症状をお見せしたまでですから。」
確かに。
ふと溜息を吐いてみたり、物思いに囚われたり、何も手に付かない有様になったり、
昔からよく言われる“恋の病“の典型的な症状ではある。
「お前、医学書を見ている振りをしていたのは何だ?」
もう、腹が立つより呆れ返って当主が尋ねる。
執事に、くすりと笑われた。
「坊ちゃんは、こういう事に大変、疎くていらっしゃいますから、
少々分かりやすいアピールをさせて頂きました。」
“大変”の処を強調して話したように感じたのは、当主の勘ぐり過ぎでは無い筈。
だが、それを指摘して怒るには、当主の気力は足りなかった。
「お前、面倒臭い。」
盛大な溜息と共に、吐き出すように当主が言う。
クスクスと執事は笑った。

坊ちゃん、私の想いは、そんなにお行儀のよいものでも、微笑ましいものでもありません。
貴方の心も体も、どこもかしこも隅々まで、いつでも、私のものにしておきたい。
貴方が私の知らない笑顔を誰かに向ければ、相手を視線だけで殺せるかもしれませんし、
貴方に無闇に触れる者があれば、指の一振りで骨をも砕くでしょう。
こんな重症の病を私に与えて、本当に困った方です、私の坊ちゃん・・。



End



※※※  ※※※ ※※※

あとがき

このラストシーンに落ち着くまで、ラストシーンだけで、
まる二日掛かってしまいました;;
ジョークっぽく終わるか、シリアスっぽく終わるか。
ラストによって、全体の雰囲気が締まるかどうかが決定しますので。

リクエストを下さいました一條様は、お気に入って下さいましたが、
皆様は如何でしょうか?
お気に入って下さいました方は、どうぞ挙手をお願い致します<(_)>

                  たままはなま

追記

ただいま執筆中のお話は、リクエストによります
『使用人達の邪魔を潜り抜けて、
なんとか坊ちゃんとイチャイチャしようとするセバスチャン』
『セバスティア3』
構想を始めたお話は、『セバスチャンとシエルの初めてのキス』
『一時的に兎を飼う事になった坊ちゃんが兎を可愛がるので、
やきもちをやくセバスチャン』
これは、どちらも手強いお話でございます。
がんばります!!



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たままはなま

Author:たままはなま
生息地域 日本で唯一、神無月の無い県
誕生日  5月24日(双子座)
血液型  AB型
行動の指針 後悔は少ない方がいい。やらずに後悔する位なら、今やって失敗した方がいい。「このままで、明日、命を落としても後悔しないか?」これが、最終判断の基準です。
黒執事キャラ占いで、47%がセバスチャン、タナカが33%、劉が10数%、葬儀屋が8%、アバーラインが数%、坊ちゃんが1%で出来ていると出た人。
歯医者の待ち時間や、通勤の運転中にも、次回の執筆のネタを考えている創作好き。
こんな管理人でございますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます<(_)>

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