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Blue Rose (with Blue Rabit)

2011–03–05 (Sat) 07:02
このお話は、相互リンク記念として、
玲瓏-Nobility- 紅月様に捧げる1作目でございます。

リクエストは、「セバスチャンとの関係に苦悩する坊ちゃん」との事でした。
「焦れったい」の坊ちゃんを気に入って下さったとのことで、
そんなイメージで書いたつもりでございますが、
上手く書けておりますでしょうか?

それでは、いってらっしゃいませ。



Blue Rose (with Blue Rabit)

薔薇園に、ヤツの姿がある。
僕の部屋からは少し離れているけれど、表情は分かる。
手入れをする手を止めたのは、僕の姿に気付いたかららしい。
誰かに見られても不自然でない角度で僕の方を見上げて、
柔らかく、甘く微笑んでいる。

困ったヤツ。
そんな笑顔を見せられて、僕は、どうすればいいんだ?
眉尻を下げた、溜息をつくような顔で、口角を上げてみた。

ヤツが、くすりと笑った。
唇が、あ・と・で、と動いた。
少し嬉しくて、少し苦しい。

僕は、もう少し仕事の続きをする為に、窓から離れた。



僕の執事は、唯一、僕をその腕に納めていいと許した相手。
いや、ヤツの腕に納まりたいと思ったのは、僕。

何者をも信用する事の出来ない僕に、ヤツだけは嘘を吐かない。
故意に黙っていて素知らぬ顔をし、
僕が気が付くまで高みの見物をしたりする性悪な真似はしても、
嘘を吐いたり、裏切る事だけは、絶対にしない。
僕との契約として、ヤツの美学として、それだけは無い。
それは、充分に理解しているのではあるが、
どうしても、たった一つ、わだかまりを覚えることがある。

ヤツに、情愛などというものが、本当に存在するのだろうか?

感情は、確かに持っている。
使用人たちの日々の失敗に、苦笑したり、怒ったり、落胆したりしているのが、
本当に心の底からであるのは、ほぼ間違いない。
その証拠に、怒っている時には、
どうかすると、悪魔の本性の紅く光る目を隠さなかったりするのだ。
猫や、猫科の動物をいたく気に入っていて、
目に入ると、大変に機嫌良く、嬉しさで我を忘れたりする。
サーカスの虎に噛まれて嬉々としていた時には、
裏の仕事の下調べの為に行っていたので、
身元がばれやしないかとヒヤヒヤしたのだった。

だが、感情があるからといって情愛を持っているとは言えない。
感情は、自分自身の快・不快に由来する喜怒哀楽であるのに対し、
愛は、相対するものを大事に大切に思うことに由来する、
相対するものへの思いやり、いつくしむ思い、それに対して打ち込む心だ。
情愛は、深く愛する気持ち。

人間と悪魔では、種族が違う。
当然、違う概念を持っているはずで、同じである訳もなかろう。
それは、いたしかたのない事実だと、頭では解っている。
が、僕の奥底では、納得出来ずにわだかまっているのだ。

お前が、愛していると囁く。
僕は、お前の「愛」の概念を知りたくなる。
僕の持っている概念と同じなのか?
僕がお前に抱いているのと同じ概念で言っているのか?
そもそも、お前に愛はあるのか?

お前の穏やかな低い声が、僕を乱す。
染み入るような響きで、胸の奥まで浸潤してくるが、
どうしても、
僕は、最後の最後で、苦しくなる。
僕の想いの全てを、お前に預けきる事が出来ないのだ。

お前の言う「愛」が、僕の思うものと違うなら、
どこがどう違うのかを知らないままでは、
全てを委ねてしまうのは危険すぎる。

僕は、そんな風に自己防御の結界を張るのを已められない。
それを、お前に気付かれなければいいと思う。
これでも、僕は、お前以外の誰のものにもなる気は無いのだから。



薔薇園の手入れを終えたヤツが、見惚れるような足取りで、
銀のワゴンと共に、僕の部屋を訪なう。
ワゴンの上の一輪挿しに活けられているのは、
青色を感じるほどに真っ白な薔薇。
紅茶の香りと薔薇の香りが混ざって漂う。
そんな匂いの紅茶は無いし、そんな香りの薔薇も無い。
Blue Rose。
ありえないもの。

考え込む僕に、低く甘い声が囁く。
紅茶色の瞳で、僕の目の奥を覗き込む。
白絹に包まれた指先で、僕の顎を上向ける。
長身の腰を折り、僕に口付ける。
ヤツの薄い唇が、何度も僕の唇を柔らかく食む。

少しひんやりするヤツの頬を、掌に包んでみる。
ヤツが、僕の名を大事そうに声にする。
僕は、そうっとヤツの胸に抱き寄せられる。
耳に触れそうに唇を寄せて、ヤツが告げる。
愛しています、と。
それは、碧い薔薇。
僕が見ている夢なのかもしれなくて、胸が、痛い。

狂おしいほど僕を想っていると言うなら、それを見せろ。
悪魔を感じる執着を、
僕を抱きしめる腕の力で、口付けの激しさで、
僕の何もかもを貪り求めようとする性急さで、
浅ましく、醜悪で、えげつない、お前の本性を曝け出して見せろ。
愛していると言うくせに、僕を、こんな気持ちにさせるな・・・。

幾つもの辞書で、愛の意味を調べる僕。
言葉の意味など調べてみても、僕とヤツの関係を特定する事は無理だ。
ヤツが言う「愛」の意味が分かる訳では無い。
不毛な行動なのだが、ふと、調べてしまう。
英語の辞書で、フランス語の辞書で、ラテン語の辞書で。
お前の中にしか無い答えを、どこかで見つけられないかと探す。
僕は、なんと情けない事をしているのだろう。



薔薇には、青い色素が無い。
だから、青い薔薇が咲く日は、永遠に来ないのだ。
だが、もしも、何らかの方法で薔薇が青い色素を持つ事があったなら、
未だ誰も見たことの無い、美しい薔薇が咲く日が来るのかもしれない。
僕は、青い薔薇が咲くのを見てみたいと思っている。
祈っていると言ってもいいのだろう。
切に、願う。
いつか、青い薔薇が咲きますようにと。

お茶の片づけを終えて、ワゴンと共に部屋を後にするヤツの燕尾の揺れを、
そんな事を思いながら見送っているなどとは、ヤツは知らない。
ドアを閉める為に、ヤツがもう一度僕の方を向く。
その前に、僕は書類に没頭する振りをして、
表情を見られないように深く俯いたのだった。



end



※※※  ※※※  ※※※

あとがき

ブルー系の薔薇は、他のどの系統の薔薇とも違う香りがします。
紅茶のように清々しいけれど、奥深い薔薇の甘さがあるのです。
独特の香りに、魅せられます。
そう見られる事に酷く抵抗をしていますが、
坊ちゃんは、深い情愛を持って、セバスチャンを想っていると思います。
だからこその苦しさを抱え、また想いが深くなっていくのかもしれません。

                                  たままはなま

※ この下に、セバスチャンsideのお話「Under The Rose]をUPしております。
  どうぞ、そちらも合わせてお読み下さいませ。
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たままはなま

Author:たままはなま
生息地域 日本で唯一、神無月の無い県
誕生日  5月24日(双子座)
血液型  AB型
行動の指針 後悔は少ない方がいい。やらずに後悔する位なら、今やって失敗した方がいい。「このままで、明日、命を落としても後悔しないか?」これが、最終判断の基準です。
黒執事キャラ占いで、47%がセバスチャン、タナカが33%、劉が10数%、葬儀屋が8%、アバーラインが数%、坊ちゃんが1%で出来ていると出た人。
歯医者の待ち時間や、通勤の運転中にも、次回の執筆のネタを考えている創作好き。
こんな管理人でございますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます<(_)>

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