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そんな事もあるかもしれない(えぴそーど1)

2011–02–26 (Sat) 17:50
軽いものとは言いながら、少し時間が掛かりました。

このお話は、パラレル的なお話となっております。
苦手な方は、どうぞご注意下さいますようお願い申し上げます。

「てぃーたいむ」とは違ったテイストを狙ってみたのですが、
お気に入って頂けますでしょうか?

それでは、いってらっしゃいませ。




そんな事もあるかもしれない (えぴそーど1)

それは、シエルが悪魔に転生して随分長い時間の後。
死の島は、セバスチャンの手によって、見違えるように整えられていた。

ファントムハイブ家の本邸ほどには大きくないが、
タウンハウスよりは充分な大きさの石造りの屋敷。
薄闇の世界でほんのり青く見える白薔薇の咲く庭。
中庭に、ベンチがある。
洗濯室が泡まみれになる事もないし、厨房が吹き飛ぶこともない。
庭が荒野に変わる不思議も起きない。
取り立てて何が起こることもない毎日。

ひとしきり世界を旅してしまったので、
今は、気の向いた時に人間界に行き、今の時代の雰囲気を味わってくる程度だ。

た・い・く・つ。

僕は、中庭のベンチにころりと横になった。
「坊ちゃん、そんなところで横になってはいけません。
お行儀が悪いですよ。」
背もたれ越しに僕の前髪を指で梳きながら、セバスチャンが言う。
「誰に見られることもないだろう。」
「私が見ております。」
咎めるような言葉を口にしているが、そんな気は無いのだ。
「うるさい奴だ。」
ヤツの手が心地よくて、必要の無い睡眠を誘う。

「坊ちゃん、そんなにお暇でしたら、
そろそろ子供を持つことを考えてみるのもいいかもしれませんね。」
そろそろベッドにお入り下さいとでも言うように軽く、ヤツが言った。
聞き捨てなら無い気がしたが、聞き間違いということもあるかと、
ヤツの顔を見上げて、念の為に聞き返した。
「今、なんと言った?」

正しい笑顔の見本というものがあるなら、まさにその表情がここにある。
「子供を持ちませんかと申し上げたのですが?」
耳が、拒否権を発動している。

聞くべきでない、聞いてはならい事ほど聞きたくなるのは、人間の悪い癖だ。
今は悪魔だけれど元人間の僕に、この悪い癖が出た。
「子供を持つとはどういうことだ。攫ってでもくるのか?」
ヤツは、一瞬きょとんとしたような表情をした後、言った。
「ご冗談を、坊ちゃん。貴方と私の間に子供を持ちましょうと言っているのですよ。」

強烈に驚くと、呼吸が止まる。
思考も止まるし、心臓も止まる。血液の循環が止まって、何も分からなくなる。
「坊ちゃん?」
ヤツの声で、我に返る。反射的にがばりと身体を起す。
「生物学的に無理だろう!」
ヤツは首を傾げて、不思議なことを聞いたような顔をした。
「何故です?」
「お前がグレルに言ったんだろう!男同士だぞ!」

赤い眼鏡に赤い長髪の死神が、セバスチャンの子供なら産める気がすると言った時、
ヤツは確かに、生物学上無理だと即答した筈だ。
「ああ、そのことでしたら問題はございません。
死神と悪魔では、ペンギンと犬ほど種族が違いますので生物学上無理ですが、
貴方と私は同じ悪魔ですから、子供を作る事が出来ます。」
ヤツが、ニッコリと笑う。
「同じ悪魔だからって、同じ男でもあるだろう!」
「悪魔は、自分の欲望に忠実な生き物です。子供を持ちたい相手が異性とは限りませんからね。
それに見合った能力を備えた身体を持っているのですよ。」
意味深な目付きで僕を見下ろす。

「お前が産むのか?」
これは重要な事だ。確認しておく必要がある。だから、聞いた。
「私が?それでは貴方のお世話が出来なくなってしまいます。」
くすくす笑う声に、危険な色を感じる。
人差し指で、僕の唇をツツッとなぞっていく。
「貴方が産むに決まっているでしょう。」
声を潜めるように低く言う。
こういう時のヤツは、かなり本気である事が多い。
「お前が子供を持ちたいのなら、お前が産めばいい。僕は御免だ。」
僕は、断りたい事は断る事にしている。
「自然界で性別が変換する生き物は、例外なく、
力のより強いもの、身体のより大きな方が雄と決まっているのですよ、坊ちゃん。」

僕はがっくりと肩を落とし、大きく溜息を吐いた。
「僕は、お前が思っているほど暇じゃない。」
ヤツの首に手を伸ばし、ゆっくりと引き寄せてやる。
僕の肩にヤツの頭を乗せるような体勢にして、耳元に呟く。
「お前の事を考えるだけで手一杯だ。」
ヤツが、息を呑むのが分かった。
僕は、クスリと笑う。
「だから、子供なんていらないだろう?」
「坊ちゃん・・・。」

ヤツが、僕を抱き上げた。
うっすら温かなヤツの胸。肩に顔を埋める。

さて、これで一件落着だ。
訳の分からない事に付き合わされるより、
少しくらい恥ずかしくても、歯の浮きそうな事をちょっと言って、
さっさと話を終わらせてしまうのに限ると僕は悟った。
これも、悪魔相手の処世術というものだ。

大体、退屈そうにしたからといって、
どうしてヤツと子供を持たなくてはならないのかが分からない。
生まれついての根っからの悪魔と、後に悪魔になったものでは、
発想、思考が根本から違うのかもしれない。
これからは、退屈そうに見えないように気を付けなくては。
次に人間界に行った時には、本を沢山買って来よう。
DSとPSPの新作ソフトも買い込んで来よう。
最近、色々なタイプの口説き方で男を落とすゲームも出ていた。
あれは、使えるかもしれないな。

僕は、何処か柔らかい所に下ろされた。
ヤツの肩から顔を上げると、ベッドルームだった。
「ん?」
眉を顰める。

「坊ちゃん、私の事を沢山考えて下さるのは大変うれしいのですが、
もっと視野を広くお持ちになりませんと。
その為にも、子供をお育てになるのは非常に良い事だと思いますよ?」
僕は、声も出ない。
「坊ちゃんが赤面せずに甘い事を仰る時は裏があるのくらい、先刻存じ上げております。」
ヤツの瞳が、禍々しい真紅に光る。
「では、坊ちゃん。」
ゆっくりと手を差し伸べながら、ヤツは近付いてきた・・・。



end



※※※  ※※※  ※※※

あとがき

このシリーズは、いろいろな「そんな事あるかもしれない」を書いてみようかと思っております。

                               たままはなま

(坊ちゃん、この後どうなさったのでしょうか・・・。)

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たままはなま

Author:たままはなま
生息地域 日本で唯一、神無月の無い県
誕生日  5月24日(双子座)
血液型  AB型
行動の指針 後悔は少ない方がいい。やらずに後悔する位なら、今やって失敗した方がいい。「このままで、明日、命を落としても後悔しないか?」これが、最終判断の基準です。
黒執事キャラ占いで、47%がセバスチャン、タナカが33%、劉が10数%、葬儀屋が8%、アバーラインが数%、坊ちゃんが1%で出来ていると出た人。
歯医者の待ち時間や、通勤の運転中にも、次回の執筆のネタを考えている創作好き。
こんな管理人でございますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます<(_)>

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