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白雪姫と7人の小人 (10000打記念 コラボ作品 Ⅰ)

2011–09–05 (Mon) 21:00
このお話は、拙ブログの10000打記念として、
呟く処でお世話になっている方にお願いをし、
コラボ作品を書かせて頂く事にした第一作です。

今回は、可愛い二人目の妹、おもち様のイラストに寄せて、
お話しを書かせて頂きました。

お楽しみいただけますと幸いです。

それでは、いってらっしゃいませ。




白雪姫と7人の小人


白雪姫と7人の小人


森の奥深くのお屋敷に、彼らは住んでいました。
人が分け入る事の少ないそこは、お城から逃れて来たものには恰好の隠れ家でした。



朝が来て、夜になり、次の日がやって来る。
変わる事のない同じ日の繰り返しのような毎日が際限なく続く暮らし。
不自由な事は何もないけれど、満たされる事のない日常。
やんわりと、呼吸を細く絞られて生きている気がしていたのです。
死なないけれど、生きてもいない感覚。
もがき、足掻いたのも遠い昔の事になってしまいました。
諦めたつもりはなくても、もう、自分から何かを求めて動くことに飽きて、
過ぎるに任せたままで時間を眺める生活をしていたのです。

ある時、お城から呼び出すものがあり、仕方なく出向いた先で、
運命まで変えるのかも知れない出会いをしたのでした。
その時は、そこまでとは思わなかったのですけれど・・・。

出会ったのは、美しい少年でした。

幼い面立ちに似合わず、暗く冷たい眼差しをしているのが、
興味をそそられた始めだったかもしれません。
陶器のような象牙色の頬、深い夜の色のサラサラと滑る髪、
長く影を落とす睫に縁どられた、晴れ渡る空を写したような、澄んだ碧い瞳、
淡く色づく瑞々しい薔薇の花弁のような唇。
絵画の世界から抜け出たような容貌の少年です。
ただ、身に纏う空気が、何ものからも彼を遮断していました。
憎悪に塗れたものなどいくらでも見ましたし、今更瞠目するには値しませんけれど、
その少年が憎悪に飲み込まれている訳ではない事は、確かな驚きをもたらしたのです

何もかもを奪われ、蹂躙の限りを尽くされたにも係わらず、
彼の本質はかすり傷一つ無く、
見事に咲いた大輪の真っ白な薔薇のような姿を保っていました。
高貴で、誇り高く、純粋にして無垢。
何ものにも染め替えることの出来ない極上の白。
遠くから見ているだけでも、芳香を感じるのです。

お城から呼び出されたのは、願いを叶える為。
呼び出したのは、その少年。
願いに応じる事を約束し、
その、腐臭を放ち汚濁に塗り込められた醜い場所から、彼を連れ出したのです。



少年の住んでいたお屋敷は、見るも無残な焼跡と化していましたので、
先ず、屋敷を元通りに修復しました。
お城から呼び出されたものは、少年の一番身近な従者である執事になりました。
表情を失ったかと思われた少年は、屋敷の主としての顔になり、
屋敷の暮らし方を知らない執事の為に、沢山の事を教え始めます。
失敗する事の多かった執事に多くの事を教えて行くうちに、
少年の表情が増えて行きました。
そして、お屋敷に色が増えていったのです。

暗い沈んだ目をした少年は、光の届かない森の奥の湖の底の色。
屈託するものを滲ませる濃藍(こいあい)。

溜息を吐いて呆れる少年は、カサカサと鳴る降り積もった枯葉の色。
生物の湿度を残しながらも乾いている藤黄(とうおう)。

前に進む事を諦めない少年は、誰にも知られず海底で育つ珊瑚の色。
生きている証の深緋(こきひ)。

警戒を解いてまどろむ少年は、穏やかな風が花の香りを運ぶ空の色。
体温のような温度の天色(あまいろ)。

残酷な記憶と闘う少年は、黙して語ろうとしない厚く重い扉の色。
拒絶する事を示す鉄黒(てつぐろ)。

護りたいものを護る少年は、決して退かない決意を持った刃の色。
甘く見ると怪我をさせる常盤緑(ときわみどり)。

行く先を見据える少年は、最後に手を預ける者を端然と受け入れている色。
心を決めて鎮まった若紫(わかむらさき)。



少年は、執事に執事らしく有る事を教えながら、
見失っていた色のある生活を、我知らず取り戻していったのでした。
始めは、自分に色の気配が戻る事に戸惑いがありました。
手酷いやり方で色彩を奪われ、もう二度と色彩を持ってはならないように感じ、
どうしたらいいものか分からなかったのです。
ですが、執事を躾けるのに、ある時は癇癪を起こし、ある時はあきれ果て、
ある時は失笑せずにはいられなくて、その身に色を纏っていったのでした。
明るい色ばかりで構成されていた過去の通りの彩りを、
そのままに取り戻す事は出来ませんけれど。
新しく手にしていく色で、新しく構成されていく彩りは、翳りを帯びてはいるものの、
以前のものよりくっきりと鮮明です。
喜ばしいかどうかは分かりませんが、色の無い世界に居るよりは面白い。
いつの間にか、少年は、執事がいるのを呼吸するのと同じに受け入れ、
自分の世界が彩られるのに嫌悪を抱かなくなりました。

執事に呼び起された色が、少年を構成する彩りとなったのです。



お城から呼び出されたものは、呼びだした者の願いを叶えます。
ただし、無償という訳ではありません。
その代償は、呼びだした者の魂。
数知れないほどの回数、呼び出され、願いを叶えてやりましたが、
呼びだした者達の殆どが魂を渡す段になると、無様な姿を晒しました。
お城から呼び出されたものは、お城を出ると、
その本当の姿をすっかり隠し、呼びだした者の好むような美麗な容姿を見せます。
仮初めの美麗な容姿に溺れ、願いさえまともに覚えていられなくなるものもあり、
本当に、がっかりとさせられてしまう事もあるのでした。
ただ、今までの者たちは大人か、大人に近い者達だったのに対し、
こんな幼さを残すような少年は初めてで、興味がじわりと湧いたのです。
打ちのめされていた少年が、自分の手を取る事で立ち上がり、
失くしていた色のある世界を、新たに獲得していく様が興味深く感じられます。
何故なら、少年の手に入れる色は、以前持っていた少年自身の色ではなく、
自分が干渉することで得た、自分を含んだ色味だから。

けれど、幾ら新たな色を獲得しても、少年の本質にある色は全く染まる事が無い。
その不思議。
他の色味を一切含まない純粋な白のままに、少年はいるのでした。



少年は、今や、執事の存在を当たり前のものとしています。
執事の干渉による新たな色を生み出しながら。
執事は、少年の願いを叶える為に傍に居るのですが、
少年が自分に見せる様々な色を見るのが楽しみになって来ていました。
まだ、執事は気付いていないのです。
実は、自分もまた、少年の干渉による色を持ち始めているのだと。

そんな、物語。



End



※※※  ※※※  ※※※

あとがき

可愛らしい感じの絵柄ですが、
私なりの解釈をすると、こんなお話が出来上がりました。
和名の色見本をネットで見ながら、
イメージしている色を、言葉で伝えようとする難しさを、
本当に眉間に皺を寄せながら感じて書きました^^;

お気に入って頂けましたなら幸いです。

このお話を文体診断に掛けましたところ、
一致率一位、「麻生太郎」と出まして、
ある意味、涙目でした・・・。
皆様は如何お感じになられましたでしょうか?

既に、第二弾の方に取り掛かる用意が出来始めております。
10000打記念のコラボ作品は、書きあがり次第、
順次、UPさせて頂きます。

最期になりましたが、
コラボに応じて下さいました、私の可愛い妹、
おもち様、本当にありがとうございました。
また、新しいお話を書く事が出来て、
嬉しく、有り難く、感謝致しております。
これからも、宜しくお願い致します。

             たままはなま
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さっそくお邪魔しました

取敢えず足跡替わりの^^;
まだ全部読んでいませんが、ゆっくり読ませていただきますw

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たままはなま

Author:たままはなま
生息地域 日本で唯一、神無月の無い県
誕生日  5月24日(双子座)
血液型  AB型
行動の指針 後悔は少ない方がいい。やらずに後悔する位なら、今やって失敗した方がいい。「このままで、明日、命を落としても後悔しないか?」これが、最終判断の基準です。
黒執事キャラ占いで、47%がセバスチャン、タナカが33%、劉が10数%、葬儀屋が8%、アバーラインが数%、坊ちゃんが1%で出来ていると出た人。
歯医者の待ち時間や、通勤の運転中にも、次回の執筆のネタを考えている創作好き。
こんな管理人でございますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます<(_)>

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