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1件のリンク削除のお知らせ

2014–12–13 (Sat) 10:08
お久しぶりです。
年頭から1ヶ月半ほど入院致しまして現在も自宅療養をしており、
体調が不安定な為、お話を書けずにおりました。
まだ波はありますが少しずつ安定に向かっています。
お話の種を数個温めていますので徐々に書いて行きたいと思います。

さて、この度は相互リンクさせて頂いておりました
sunow drop様がジャンル変更によりサイトを閉鎖なさいました事により、
リンクの削除を申し出られましてリンク削除の運びとなりました。
ふんわりと和むセバシエ、少しビターなセバシエを書いていらして
とても素敵なお話を拝読するのが楽しみでしたが、
黒執事は読んで楽しむにとどめ他のジャンルを書きたいと仰いますのを
お留めするわけにも参りません。
残念な気持ちでいっぱいでございます。

sunou drop様、大変お世話になり有難うございました。
他ジャンルに移動なさいましても素晴らしい作品を生み出していかれますよう
心より応援いたして参りたいと思っております。

                           たままはなま
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お題による140字SS集

2014–06–22 (Sun) 21:55
すっかりご無沙汰致しております。
ある程度の文字数のお話を書く為のリハビリとして呟くところにて、
セバシエポストというお題提供アカウントがあり、
そこでお題に沿って書いた140字SSが溜まりましたので、
纏めたものをUPさせて頂く事に致しました。
お目汚しではございますが、読んでやって下さると嬉しく思います。

それでは、いってらっしゃいませ。


お題による140字SS集



「6月の花嫁」
つい昨日の事のようなのに、あれから数年も経っていた。教会の屋根に腰掛けて見下ろす先には白いドレスを着たリジーがいる。隣には夜会で何度か顔を合わせた事のある若い男が寄り添い手を取って視線を交わす。6月の花嫁が幸せそうに微笑む姿を見届けて、僕の背後に控える執事を従え住処へと帰った。

「雨」
昼間だというのに重く垂れ込めた雲の所為で薄暗い部屋の中に響く荒い息遣い、あられもない音。使用人達が立ち働いている時間に坊っちゃんを啼かせ続けている。乱れながらも誰かに聞かれてしまうのを恐れて必死に声を抑えようとする姿がたまらない。激しく雨の降る日の秘め事は、私の最高の楽しみだ。

「吐息」
夜の帳の中、窓から見下ろす白薔薇が満月に照らされて青く見える。この世に存在しない色。けれど人はそれを現実のものにしようと試行錯誤を繰り返す。決して実を結びはしないのに。幾度となく互の吐息を零距離で感じようとも僕と奴との間には永遠の2分の1の法則が横たわるのと同じだと一人嘲笑した。

「泥酔」
私は人の飲食物を口にする真似事はしても本当の意味で摂取しているわけではない。だから当然アルコールに酔う事などないのだ。だが最近気づいた。今までのどの契約者よりも美味になるであろう子供の魂が熟成される様に魅入られていくのは酔いに似ているのではないかと。それなら私は既に泥酔している。

「罠」
「もう夏になるというのに今夜は冷えるな。」「そうですね。ブランケットをご用意いたしましょう。」模範的な回答だ。「それでは暑すぎる。」「ですがお体を冷やしては…。」眉尻を下げる執事。「温める方法なら他にもあるだろう?」目を合わせてニヤリと笑う。僕の仕掛けた罠に奴は容易く落ちてくる。

「悪魔」
僕にとっての奴は駒。奴にとっての僕は餌。そういう契約だった。しかし当初はなかった条項が何時の間にか加えられたのは何時だったか。働きに見合うだけの褒美をその都度与える。そんな条項が。所有印を互いの肌に残すのに、翌日のあいつには残っていない。悪魔にとって僕は仮初の主だからなのだろう。

「悪魔 2」
気を抜く事の出来ない駆け引き。まさに食うか食われるか。ナイトティーを供しに来た奴の目がこちらを向いているのを確かめて大きく足を組みかえる。見ない振りをして表情を変えないでいてもタイミングを図っているに違いない。さて、どう出る?部屋を出れば僕の、このまま残ればお前の負けだぞ悪魔。

「悪魔 3」
この小さな主は私を楽しませてやまない。予測の上をいく事を考えて驚かせる。少々、いやかなり使い方が荒いところも一興だ。月日を重ねていく毎に、確実に魂は熟成され芳醇な香りを放っていき「その時」までに何れ程美味になるのだろう。私をここまで執着させ魅了するとは彼の方こそ悪魔のようだ。

「悪魔 4」
爪が黒くなった。瞳が赤く光るようになった。ただそれだけだ。ああ、魔力も使えるようになったのだったな。しかし本質までが変わった訳ではない。悠久の生は退屈だと奴は言ったが、僕は歴史や文化の変遷に介入するのが面白くて仕方ない。今の僕だからこそ出来る事。悪魔で子供はしたたかなのだ。

「背中」
無力なくせに高飛車で高慢な小さな子供。とんでもない主に召喚されてしまったと思った。けれど彼は私の甘言には目もくれず迷いなく真っ直ぐに奈落へ続く道を突き進んで行く。その姿は一輪だけ咲いた豪奢で純粋な白の大輪の薔薇。最期の瞬間まで、凛とした姿勢を崩さないだろう背中を私は守っていく。

「彼女」
毎日決まって何時もの時間、何時もの場所で、ヤツは密会を重ねる。僕には決して立ち入る事の出来ない繋がりがそこにある。どうしても引き離せない関係に歯痒さを禁じえないけれど、嫉妬ではないのだと自分に言い聞かせ、今日も薔薇園から現れたしなやかな肢体の漆黒の彼女が尻尾を揺らすのを見ている。

「彼女 2」
いつかその日が来ると信じて疑わないのを見て、私は内心の嘲いを止められません。残念ながら幾らお待ちになられても「その日」は来ないのですよ。もうとっくに私の手に堕ちているのですから。今暫くは夢をご覧になるといい。哀れな人間。彼女の名はエリザベス・エセル・コーディリア・ミッドフォード。

「宝石」
この子供の瞳は左はサファイア、右はパープルクオーツ。何かに似ていると思ったらアレキサンドラインサファイアだった。光の偏光によって碧と紫に色を変えるその宝石は彼そのものだ。表の顔しか知らない者と裏の顔を知る者
では全く違う印象を持っている。人は真実を見失うらしい。どちらも彼なのに。

「美学」
お前の手を取ると決めた瞬間から、僕はそれ以前の僕を捨てた。子供である事を止めて、誰の手にも縋らずに自分の足だけで立って目的の為にはどんな手を使ってでも前に進むと決めたのだ。悪魔でさえも僕にとっては駒に過ぎない。最期の一瞬が訪れるまでシエル・ファントムハイヴでいる。それが僕の美学。

「最初で最後の」
幾通りかの推測をしていた。そしてその一つが確定した。僕は女王の番犬としての勤めを果たした。全てが終わり、今の僕は貴女の甥として此処にいる。我が子を抱けなかった代わりに僕達を愛してくれた貴女は女の子が欲しかったと言った。最初で最後のドレス姿は少しでも貴女への手向けになっただろうか。

「ダンス」
リジーにダンスを強請られて付け焼刃で覚えてワルツを踊った。シェーンブルン宮殿で覚えたというお前直伝のウィンナワルツ。お前はその時いったいどんな契約をし、何者としてそこに居て誰と踊っていたのだろう。今は僕の手を取っているけれど、この時が終わればお前はまた違う相手と死のダンスを踊る。

「プロポーズ」
生まれた時から婚約者が決まっているこの国の貴族社会ではプロポーズなどただの儀礼でしかない。適齢になったら主要な人々を集めその前で求婚するのだ。だが僕は魂を差し出せば全ての望みを叶える強大な力を与えるという悪魔からの命を引換にするプロポーズにイエスと答えた。僕は奴の、奴は僕のもの。


※※※  ※※※  ※※※

同題SSですので、他の書き手様も沢山の作品を呟く所にUPしていらして、私も勉強の為に拝読しております。
そして常々糖度が低いと自覚してはおりましたが、自分のお話が群を抜いて低糖度であると思い知りました^^;
何時か糖度の高いお話も書けるように精進してまいります。

                        たままはなま





Just one

2014–04–02 (Wed) 22:04
やな先生がつなびぃにUPしていらした蔑む表情の坊ちゃんと胸元をはだけているイラストを拝見して、
とても激りましたので、一気に書き上げたSSです。
今回のお話はR15くらいかと思いますが、少々色っぽいものとなっておりますので、
お気をつけてお読み下さいますようお願い致します。

私事ではございますが、昨秋より体調を崩し、薬の調整で治療をしておりましたが、
急激に思わしくない方へ向かってしまい、入院を余儀なくされました。
ある程度落ち着いてまいりましたので退院いたしましたけれど、
寛解は望めますが完治は出来ない身になってしまいました。
その為、ゆっくりペースで書かせて頂く事になると思います。

黒執事への思いの強さは変わりませんので、これからも大切に書いて参ります。
お気が向かれましたら、時々覗いてやって下さいませ。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

それでは、行っていらっしゃいませ。



Just one



腕と足を組んで、ベッドに浅く腰を掛けている私の主。
幼さない面立ちからは考えられないくらいに不遜な人間。
射殺さんばかりの強い眼差しで、ベッドの脇に跪く私を睥睨している。
私を召喚し、首輪を付けた子供。
日毎夜毎に繰り返される、記憶を書き換える為の行為。
無力さ故、抵抗もできずに征服され続けた日々。
それを払拭するのに私を利用するのだ。
今も、思いの外に執務が早く終わった彼に召されてここにいる。
カーテンを引いていない寝室には、残照が未だ明るく差し込んで、
何もかもが晒されるというのに気にも留めない。
私は、横目に視線を合わせたまま唇の端だけで笑う。
ゆっくりとした動きで上着を落とし、ウエストコートを脱ぐ。
ネクタイをじわじわと引いて緩め、
シャツのボタンを一つ、また一つと外していく。
最後の一枚まで脱ぎ去っても、彼は眉一つ動かしはしない。
僅かに首を反らせて自分の服を剥ぎ取るように促すだけだ。
身に付けるものが無くなった主の体を掬い上げ、
ベッドの中央に横たえた。
覆いかぶさって耳介を甘噛みし、舌先を差し入れ、
まだ反応のない胸の果実を刺激する。
摘まみ上げ、捻って、先を爪で掻いて尖らせた。
口に含んで転がせているうちに、呼吸の早さが僅かに変わっていく。
擽る力加減で肌をくまなく撫でて、体温が上がるのを待ち、
柔らかな場所へ指先を滑らせ、焦らすように動かす。
息を乱し、眉根を寄せて、私を鋭く見上げる瞳。
侵入を許す瞬間、彼は短く呻く。
強張りを緩めさせる為に、首筋から肩、胸元へと舌を這わせて宥める。
熱に赤みを増した唇を貪りたい衝動に駆られるが、
それは私には禁じられているのだ。
すっかり私を覚えてしまおうとも、
心まで明け渡すのではないと表明する為に主が決めた禁忌。
繋いでいるのは自分であり、繋がれているのが私だと知らしめす。
より美味な状態で魂を喰らう目的があればこそ、
人間に自らの強大な力を貸し、私が傍らにあるのだと、
この子供は今までのどの主よりもよく理解しているから。
初めはゆるゆると、次第に激しくベッドが揺れる。
堪えきれない声を漏らし、やがて長く啼いて大きく背を撓らせた後、
その身を弛緩させて薄く目を閉じるけれど、目は私を見据えたままだ。
美しい澄んだ碧を蕩けさせたいと思い、同時に蕩けてなど欲しくないと思う。
気高く、高貴で、凛とした背中を見ていたいのだ。
果てのない闇へと続く道を歩んで行く姿を。
悠久の時を生きる私から見れば、
瞬きの間もないうちに契約の終了は訪れるだろうが、
命ある限り、この主の記憶は色褪せる事無く残るに違いない。
かつてない程の執着を覚えたという思い出と共に。



END

アイコン用坊っちゃん

2013–09–01 (Sun) 14:57
アイコン用坊っちゃん

呟く所で使うアイコン用に坊っちゃんを描いてみました。
(背景はフリー素材を配布していらっしゃる所からお借りしております。)

体調の関係でお話がなかなか書けずにおりまして本当に申し訳ございませんm(_ _)m
書きたい思いはございますが、身体の方が思うにまかせず情けない事でございます;;

季節の変わり目となってまいりましたので、皆様も体調にはお気をつけてお過ごし下さいませ。

                       たままはなま

Again 1 (Borderline続編)

2013–08–11 (Sun) 09:56
このお話は、甘いお話になるようなアイディア募集に、
「シエルがセバスを嫌いになる(敵の魔力の干渉か何かで)か、忘れてしまい、
セバスがもう一度シエルを口説き落とすためにアレコレするお話」
というアイディアを頂きまして、その前半部分として書いたものです。
原作沿いでは甘くなり難い感じでしたので、
現代パロの“Borderline”の設定で書いてみました。

“Borderline”未読の読み手様は、ご面倒ではございますが、
そちらからお読み下さいますと設定をお分かり頂けるかと思います。

それでは、行ってらっしゃいませ。





Again 1 (Borderline続編)



「ウェストン校で銃の乱射事件が発生。負傷者多数。
受け入れられる限界まで受け入れるから、直ぐに出てきて!」
夜勤開け、仮眠室でウトウトとしていた私を起こしたのは、
アンジェリーナ院長からの緊急コールだった。
ウェストン校といえば、良家の子女のための学校でセキュリティーもしっかりしている。
そこで銃の乱射事件が起きるとは、どういう事態が起こっているのだろうか。
しかも、そこには坊っちゃんも通っている。
「院長、坊っちゃんはご無事ですか?!」
医師としての私が訊ねるのは、坊っちゃんの安否より怪我人の方である筈だったが、
院長の甥であり、私にとって大切な人の事を尋ねずにいられるわけがない。
私の脳裏には、昨日の朝、私の家から学校に送り出した時の坊っちゃんの笑顔が蘇り、
胸をきつく締めつけられた。
僅かに沈黙が落ちる。
そうなると、嫌な想像しか浮かんでこない。
院長も当然ながら心配しているのに違いないが、
混乱が大きければ、一人の生徒の情報だけを手に入れるのは難しくなる。
「いいえ、今のところは分からないの。
学校の方も混乱が激しくて誰が無事なのか把握しきれないらしくて、
取り敢えずの報告があっただけよ。
大きな病院で一番近いのはうちの病院だから、
これから沢山の怪我をした生徒達が運ばれて来るわ。
もしかしたら、その中にいるかもしれない。
とにかく、今は私たちに出来る事をするしかないの。」
院長が電話を切ると同時に、私は宿直室を飛び出し駆け出した。
暫くすると、正面玄関は、ストレッチャーで救急搬送されてきた中程度から重傷者、
学校のスタッフに運ばれてきた軽度の怪我人、
怪我らしいものは見当たらないがパニック状態になっている生徒達等が詰めかけてきて、
それぞれに医師によるトリアージが行われ始めた。
救急車のサイレンが途切れる事無く聞こえてくる中、
私は形成外科が専門ではあるが、外科の方もある程度は診る事が出来るので、
その場で直ぐに対処できる怪我人から順に診ていった。
救急救命の為の処置室は、既に手一杯の状態らしく、
看護師達が応急処置の為の医薬品や道具を乗せたカートをあちこちへと運んでいる。
まるで戦場のような有様だった。
私に割り振られた患者の処置をしていたその時、
新たな患者が運ばれて来たのを見て、私は言葉を失った。
ストレッチャーの上に横たえられたその小柄な体は、坊っちゃんだったのだ。
頭部を負傷し、厚いガーゼに血を滲ませている。
「坊っちゃん!」
駆け寄って声を掛けたが反応は無い。
救急救命士から聞き出したところによると、犯人の乱射した弾が右目の際に当たり、
大量に出血している為、バイタルが不安定になっているのだという。
その場での処置では済みそうになく、
彼がそのまま手術室に運ばれていくのを、私は見送るしかなかったのだった。
坊っちゃんの事は気がかりであったが、自分では役不足である事は分かっていたので、
私は私の目の前にいる患者達に集中する以外になかったのである。
一頻りの騒ぎが治まり、パニックの落ち着いた怪我の無い患者は帰宅させ、
軽症者も自宅観察で済む者達を帰した。
手当てが済んだものの収容しきれない中程度の患者は、徐々に近隣の病院へと搬送され、
静けさを取り戻したのは、翌日の明け方の事だった。
私も他の医師達と同様に疲労困憊していたが、坊っちゃんの所へと急いだ。
手術後の麻酔からまだ覚醒しきっていないのは分かっていたが、
とにかく、彼の顔を見ずにはいられない気持ちだったのだ。
目いっぱいに簡易ベッドが置かれた病室の一部屋、
その中の一つに坊っちゃんが横たわっていた。
担当医師によると、眦近くを銃弾に抉られた傷は、深くはあったが、
そう目立つような傷跡を残さずに済むだろうとの事であった。
傷の治り具合を見て、もしも気になるようなら私が治せばいい。
あの滑らかな肌に少しの傷跡も残しはしない。
そんな事を思いながら、ベッドの脇の椅子に腰かけ、
生きて、私の目の前に居てくれる事に安堵して、
麻酔で眠っている坊っちゃんの、点滴の管が幾筋も繋がれた手を両手に包んだ。
怪我よりも重篤な症状が起こっているとは、
この時、誰が予想していただろうか。



翌日、目を覚ました坊っちゃんは、時に辛そうに眉根をよせ、
痛み止めの点滴も充分には効いていないようだったけれど、
その他に変わった様子はない様に見えていた。
傷の痛みに耐える坊っちゃんを励ますつもりで私は言った。
「坊っちゃん、早く治して帰って来て下さいね。
貴方がいらっしゃらない家は広く感じてしまいますから」
それを聞いた坊っちゃんは意味が分からないという顔をした。
「アン叔母様の家が?・・・どうしてお前がそんな事を?」
坊っちゃんの答えに違和感を覚えた。
やっと私達の事を院長に認めてもらうところまできて、
今では私の家に住んでいるのに等しいといえる様になっている。
だから、坊っちゃんにとっての帰る場所は私の家を指す筈なのに、
この答え方だと院長の家に帰るのが当たり前だと思っているようだ。
嫌な予感が私の脳裏をかすめる。
「坊っちゃん・・・。」
訊ねるのに躊躇してしまうが、確認しておかなければならない。
「これは医師としての質問ですが、坊っちゃんは何処に住んでいらっしゃいますか?」
坊っちゃんの表情は、如何にも質問の意図を不審に思っているものだった。
「アンジェリーナ叔母様の家だ。」
その答えに私は愕然とした。
坊っちゃんの記憶は混乱している可能性がある。
直ぐに担当医と院長に連絡をして、検査を依頼した。
検査の結果は保護者である院長しか聞く事が出来ない。
院長が私に結果の報告をしてくれると分かっていても、
私の胸は、ちりちりと焼けるように痛んだ。
こんなところで私と坊っちゃんの関係が、
公式にはまだ何ものでもないと思い知らされるとは予想の範疇外だった。
共に住んでいても、坊っちゃんにとって、私はまだ家族ではないのである。
医師からの病状説明を受ける資格を持っていないのだ。
その後、アンジェリーナ院長から訊いた担当医の話によると、
自分が同級生の女子生徒を庇う為に怪我を負ったのを覚えていない状態であり、
坊っちゃんには、学校で起きた事件の記憶が一部無いのだという。
脳には異常が無く、事件に巻き込まれた事による一時的なものだと診断されたのだが、
どういった事をどの程度忘れてしまっているのかは不明で、
何時、その記憶が戻るのかは分からないとの話だった。
他にも細かな所で記憶が曖昧になっていたり、
飛んでしまっていたりする可能性があると思われるという。
私と院長は、坊っちゃんの記憶を面会の度に会話の中から手探りで探っていった。
そして分かったのは、学校生活と私生活の幾つかについて、
やはり記憶が抜け落ちているという事だった。
例えば、銃を乱射する犯人から生徒達を守ろうとして被弾し亡くなった担任の名前を、
坊ちゃんは、はっきりとは思い出せなかった。
仕事の件でも、学校の友人の発言から着想したと言っていた新しい商品の企画について、
まるで覚えていなかった。
そんな幾つかの、喪失してしまったり、曖昧な記憶がある事が分かってきた。
どうも、総じて学校に関わる記憶に問題が起こっているらしい。
その記憶障害の程度は、どのくらいに学校との関係が深い事柄かには関係しないようで、
少しでも学校と関わりがあれば現れるようだった。
最も問題なのは、私と坊っちゃんの関係を覚えていない事だ。
ほぼ私の家に住んでいるというのを忘れている事実から危惧してはいたけれど、
実際にすっかり覚えていないと突きつけられるのは辛い。
思えば、院長の仕事の都合によって私が彼を預かっているだけの関係から、
今の様な親密な間柄になったのは、坊っちゃんがウェストン校に上がって後の事で、
坊っちゃんの気持ちを確かめた日は、学校から帰宅し、
私の家に向かうところだったのである。
学校での恐怖の体験からだろうと思われる学校に関連のある記憶の混乱が、
事件に直接に関係する事だけでなく、
こんな風に些細な関わりの事にまで発現しようとは、あまりに理不尽な事態であり、
私はただ驚愕する以外になかった。
アンジェリーナ院長が当直の時や出張の時に私の家に預けられる事を覚えていても、
ただ、それだけの関係であるとしか現在の坊っちゃんは認識していないのだ。
「何かの切掛けで思い出してくれればいいのだけど・・・。」
院長は現実的な人なので、変に希望を持たせるような言い方はしない。
私には、その方が有難かった。
「私も出来る限りの事をしてみます。」
そう答えたが、何をどうすればいいのか、
この時の私には何の考えも浮かんではいなかった。



To be continued

※※※  ※※※  ※※※

ここからどうやって甘くしていけばいいのか頭を悩ませておりまして、
なかなかUP出来ずにおりました^^;
後半で坊っちゃんを口説きなおすセバスチャンのターン、
頑張って書いていこうと思っております。
どうぞ、応援してやって下さいませ<(_ _)>

暑い日が続いておりますので、皆様も体調にお気を付け下さいませ。

                  たままはなま

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プロフィール

たままはなま

Author:たままはなま
生息地域 日本で唯一、神無月の無い県
誕生日  5月24日(双子座)
血液型  AB型
行動の指針 後悔は少ない方がいい。やらずに後悔する位なら、今やって失敗した方がいい。「このままで、明日、命を落としても後悔しないか?」これが、最終判断の基準です。
黒執事キャラ占いで、47%がセバスチャン、タナカが33%、劉が10数%、葬儀屋が8%、アバーラインが数%、坊ちゃんが1%で出来ていると出た人。
歯医者の待ち時間や、通勤の運転中にも、次回の執筆のネタを考えている創作好き。
こんな管理人でございますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます<(_)>

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